
東洋人における特徴的な顔面形態として骨格的には頬骨・下顎骨の張り出しが強く、更には皮膚・皮下軟部組織が厚くて重い。このことが西洋人と比してフェイ スリフト手術を一層難しいものとしている。一方、本邦においてはLimited SMAS, conventional SMASが美容・形成外科医の間に広く普及しているが、これら術式はjowl改善を目的としたものであり、一般患者にとってもっとも改善要望の強い鼻唇 溝、マリオネットラインに対してはその効果が及ばない。この矛盾に対してSMAS, Retaining ligamentの解剖学的特徴と東洋人の顔面形態の特徴を複合的に考慮し、鼻唇溝等にも効果の及ぶ術式を考案したため、文献的考察を含め報告する。
外・側方への張り出しの強い頬骨体部‐弓部の移行部から咬筋前縁にかけて、この部位をtransition lineとし、頬部を2つのzoneに分類する。この部位は解剖的に鍵となるRetaining ligamentが集中して存在する部位でもある。medial zoneではSMAS plication, ligamentを利用した皮弁引き上げ固定を行う。lateral zoneにおいてはjowl改善を目的としたLimited SMASを行う。
この術式はjowlのみならず、鼻唇溝、マリオネットラインの改善が認められる。一方、皮下剥離範囲が広い為、腫れが遷延する傾向がある。ligament縫合、固定の際に生ずるdimpleは通常1ヶ月以内には消失する。
フェイスリフトは、その剥離の層、範囲、SMASの処理など諸家によりさまざまな報告がみられる。演者も600例を超えるフェイスリフト手術の経験の中 で、さまざまな術式の改良を行ってきたが、本法は “安全と効果のバランス”を考えた際には非常に優れた術式であると考える。
腋臭症・腋窩多汗症に対し、最近ではボツリヌス菌毒素注射などの非外科的治療法が普及しているが、その効果の確実性、持続性などの点から従来より行われて いる外科的治療法に取って代わるものではない。一般的に患者側の希望として、効果の確実性に加えて、小さな手術創、術後の安静度の緩和(ADLを制約しな いこと)なども無視できない。この問題を解決するために種々の手術器具が開発されてきたのは周知の事実である。反転剪除法は、その効果は疑いのないもので あるが、切開創の長さ、術後の安静度の点で、患者側の希望をすべて満たすことはできない。われわれは試行錯誤の結果、反転剪除法に専用器具の使用を組み合 わせることによって、わずか1cmの皮切部位から腋窩有毛部のほぼ全域を剪除可能とする術式を考案したため、若干の文献的考察を加え報告する。
平成14年3月から平成16年10月までに、44名88側に本術式を施行した。 術後固定として、皮弁部に数箇所のanchoring sutureとガーゼを俵状に束ねて、伸縮テープによる圧迫固定を3日間行った。術後1週間は肩関節挙上を制限した。
重篤な合併症は一切認めず、6例(10側)に一過性の軽度色素沈着と拘縮を認めた。術後1年以上経過した27名を調査した結果、再発は1例もなかった。