

小顔を目的とした“エラ削り”は顔面輪郭形成術ではもっともポピュラーな手術のひとつである。
実際の患者の希望は、正面顔で『ほっそりとした卵型の輪郭に』というものが多く、側面顔に関しては特に希望を述べないことが多い。これらを考慮した場合、一般に行われている下顎角形成術は“いったい患者の要望を満たしているのか?”どうかを解剖学的・臨床的に検証する。
2000年3月から2005年5月までにいわゆる下顎角形成術451例を行った。術前に患者の希望を調査したところ、90%以上の症例で側面顔での変化より正面顔での変化を重視していた。
患者の要望を分析し、下顎形態を3次元的に捉えて、画像(セファロ・CT)も含めていかなる手術を行うべきかを検討する。
患者のいう『エラをほっそり』とは正面顔での改善を意味する。正面顔の改善を目的とした手術は、下顎角部に限定した骨切りとは異なり、下顎枝から体部、オトガイ結節まで含めて広範に骨切り・骨削りが必要となる。
エラの改善に関して注意すべき点として、“エラ”と称する部位に対する理解が患者と術者の間で異なることが多い。演者の考えでは、臨床的には“エラ”を “正面顔でのエラ”と“側面顔でのエラ”の2つに分類すべきであり、この2つは解剖学的位置が一致しない。患者の希望に添った手術を行うにはこの2つの “エラ”の存在と位置関係を正しく理解する必要がある。但し、実際の正面顔での輪郭改善には骨格の他に咬筋も関連してくる。また限界ラインとしての下歯槽神経の走行も重要なポイントとなる。これらを総合し、患者の希望する『エラ削り』を実現するための手術法に関して、文献的考察も含め報告する。
東洋人には比較的稀であるが、前頭洞の過剰発育に起因する眉毛上部の突出は、険しい印象を人にあたえる。これに対し女性的な優しい表情にすることを目的とし前額部骨切り手術を行った。
対象は眉毛上部の突出を主訴に来院した2症例、21歳男性および24歳男性である。方法として、後頭隆起上方を通過する冠状切開より帽状腱膜下、骨膜下剥 離にて前頭骨を露出させる。前頭洞前壁をbarで開窓し、前壁骨片を遊離骨片として摘出したのち、barを用いて周囲および前頭洞中隔部を削り減量させた うえ、元に戻しwireで固定した。前頭洞粘膜は可能な限り温存した。
Follow 期間はそれぞれ1年7ヶ月、1年8ヶ月であるが、禿髪、知覚異常、鼻腔機能異常等もなく、2症例ともに顔面輪郭のなめらかさ、側貌の改善が得られ、険しい表情も緩和された。
眼窩上縁の突出は険しい印象を与え、男性的象徴であるが、フェミニゼーションの一環として、我々は冠状切開から直視下に前頭骨の骨切りをおこない、輪郭の 改善をおこなった。この方法は異物を使用することなく、過剰な部分のみを直視下に減量でき、自然な輪郭形成が可能であった。禿髪、知覚異常、鼻腔機能異常 などの合併症もなく、唯一の欠点である冠状切開瘢痕も、後頭隆起上方を通過させることにより、毛流に直交するためほとんど目立たなくすることが可能であっ た。