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学会活動 活動報告

【2005年7月6日・7日 第37回 日本看護学会】

「経鼻挿管による鼻孔縁の褥瘡予防策」
東京院 松永絵里 坪井千恵 竹山久美子

はじめに

経鼻挿管で全身麻酔下を施行する。気管内チューブ、胃管カテーテルを両鼻腔から挿入するが、術中は清潔保持、また術操作を円滑にするため、これらを一つにまとめ前額部で固定する必要がある。(図1) 長時間の手術の場合にはチューブの固定・圧迫により鼻孔周囲の血流が阻害され、鼻孔縁内側上方に褥瘡をきたすことがあった。 そこで今回、鼻孔縁内側上方とチューブとの間に除圧材(レストン(R))を挿入することで褥瘡が予防できるのではないかと考え、実施したところ良好な結果が得られたためここに報告する。

研究方法

1. 対  象: 経鼻挿管にて手術を受けた患者60名
年齢:18~51歳(平均26.3歳)
抜管から帰宅までの時間
・日帰り手術:43名(平均5.6時間)
・一泊入院:17名(平均16.8時間)

方  法:除圧材には柔軟性・安全性・耐久性を考慮し、連続気泡構造で通気性が良いレストン(R)を選択した。
1)気管内チューブ・胃管カテーテルを鼻にテープで固定する際、鼻孔縁内側上方とチューブの間に縦3.5cm×横1.0cm×高さ0.8cmに切断したレストン(R)を挿入した。(図2)
2)抜管直後と帰宅時に独自で作成した評価表を用いて調査した。
3)帰宅時、褥瘡(発赤・表皮剥離等含む)を認めなければ調査を終了し、褥瘡を認めた場合は検診時にも調査を続行した。

結果

レストン(R)を使用しなかった患者:30名
挿管時間:2~11時間(平均4.8時間)
抜管直後に発赤を認めた患者は30名中27名(90%)で、そのうち帰宅時までに症状改善した患者は10名であった。また27名中24名は、気管内チューブが挿入されていた鼻孔縁内側上方に発赤を認め、うち18名が両鼻腔に発赤を認めた。
帰宅時、発赤が認められた患者16名(平均年齢25.7歳 平均挿管時間5.9時間)の検診時(術後1週間~2週間)の状態はすべての患者で発赤は消失していた。
30名中1名(年齢35歳 挿管時間7時間)の患者は表皮剥離を伴っており、術後1週間では発赤・うすい痂皮、術後2週間で発赤・痂皮という経過をたどり、術後1.5ヶ月で消失した。

レストン(R)を使用した患者:30名
挿管時間:3~8.5時間(平均4.9時間)
抜管から帰宅までの時間
・日帰り手術22名(平均5.2時間)
・一泊入院8名(平均15時間)
抜管直後に発赤を認めた患者は30名中14名(46.6%)で、そのうち帰宅時までに症状改善した患者は12名であった。
帰宅時発赤が認められた患者2名(平均年齢28.5歳 平均挿管時間 6時間)の検診時(術後1週間)の状態は2名ともに症状改善していた。抜管後に水疱、表皮剥離を認めた患者はいなかった。

考察

小野・前川らは「気管チューブの圧迫により、外鼻孔および鼻中隔の潰瘍を形成する可能性がある。われわれの施設で、4時間の手術後に鼻翼の発赤・びらんを認めた症例を経験している。」と述べている。
今回の研究で挿管時間が2~3時間程度の患者においても抜管後に発赤が認められた。
一般外科では手術部位が清潔野となっていれば手術は問題なく遂行できる。しかし、美容外科では手術部位のみならず、顔全体のバランスを見ながら手術施行となる理由から清潔野の範囲を大きくする必要がある。その際、手術操作の邪魔にならないようチューブ類を前額部に固定していることが鼻孔縁への負担を大きくする原因となったと考えられる。また、術中は執刀医が患者の頭側に立ち頭を動かすことにより、さらにチューブ類が牽引され、鼻孔縁を圧迫していると考える。
抜管後の状態はレストン(R)を挿入しなかった患者は90%の確率で発赤が出現し、帰宅時までに消失しなかった患者の割合は62.9%であった。それに対し、レストン(R)を挿入した患者は44.6%の割合で発赤が出現したものの帰宅時までに消失しなかった患者の割合は6.6%であった。
レストン(R)を挿入することで発赤出現は低下し、帰宅時までに消失する可能性は高くなっている。このことからレストン(R)は除圧の効果があり発赤の出現・程度を減少させたと考えられる。

結論

レストン(R)は除圧効果に優れ、接触部位の皮膚に発赤が出現しても程度は軽く早期に消失した。
レストン(R)は経鼻挿管による鼻孔縁の褥瘡予防に有用であると考える。

図1図2
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