
小顔を希望され来院される患者の中では、エラ、オトガイの改善希望が多い。注意すべき点として、患者のいうエラを下顎角と解釈し、下顎角に限定した骨切りを行なっても患者の希望に添った結果にならないことが多い。また、どちらかの単独手術後に却ってエラとオトガイのバランスが崩れ、再手術を希望されることもある。これら術後の患者の不満をさまざまな角度から分析し、理想的な下顎形成術がいかなるものかについて詳述する。
2000年2月の開院以来、下顎形成術(下顎角形成術、オトガイ形成術を含む)約1000症例を経験した。患者の理想とする術後形態を実現するために下顎骨のどの部位をどのように処理すべきか、画像を含めて検討する。
下顎角部(エラ)に限定した骨切り術は、主に側貌のみの改善を目的とした手術法であり、『ほっそりとした小顔に』という要求には合致しない。正貌においては、下顎体部を中心とした外板切除術、さらにオトガイ形成術を併用することにより下顎ライン全体がスムースで段差なく小さくなり、満足度の高い手術となる。但し、下歯槽神経の走行、咬筋肥大の程度により、その改善効果は限定される。
下顎形成術はオトガイ神経を境に、便宜上エラ手術、オトガイ手術に分類されているが臨床的には下顎形成術としてこの両者を併用することにより、理想的な輪郭を形成することが可能となる。
いわゆる目頭切開を希望する患者は、1)上眼瞼内側に張っている蒙古襞をとり平行型の二重にしたい、2)蒙古襞により、みかけの内眼角間距離が離れてい て、瞼裂も横方向に小さく見えるのを改善したい、3)その両者、の3つに分類される。今回われわれは患者の希望を分類し、それをもとにしたデザインを患者 とともに行い、満足度の高い結果が得られているので報告する。
対象は、2005年8月から2006年6月において当院で内眼角形成術を施行した患者のうち計測データの揃っている45名。Park法に準じた余剰皮膚切 除+Z形成術による内眼角形成術を行うが、1)に対しては正面視にて蒙古襞により二重の幅が狭くなり始める点をマーク、そこから垂直に降ろした重瞼線との 交点を皮弁の先端とし、皮弁の幅は蒙古襞の張り具合、重瞼線の高さ、余剰皮膚の量などにより決定する。2)に対しては、蒙古襞を完全に切除するのか、部分 的に残すのか希望により、患者に鏡を見て確認してもらいながら内側点をマークし、新しい目頭の位置を決定する。眼輪筋はヒダを構成している部分は切断し、 線維性の靭帯付着部は切除する。
1)16名(35.5%)、2)6名(13.3%)、3)28名(62.2%)、その他5名(11.1%)であった。術前のみかけの内眼角間距離は、1) 34.9mm、2)38.0mm、3)37.5mmであった。内側点から皮弁先端までの平均距離は1)10.4mm、2)10.3mm、3)11.9mm であった。内側点からの見かけの切除幅は1)1.3mm、2)1.7mm、3)1.9mmとなった。
われわれ日本人では蒙古襞が存在する方が約70%と非常に多いが、白人の様な内眼角の形態を望む患者は稀である。軽度の変化ですませたいとの要望が多く、 それが蒙古襞の張りによる内眼角間距離なのか、二重を平行型に近づけたいのかポイントが分かれるようである。実際に患者と鏡の前でイメージを確認しながら 各ポイントをマーキングすることで、患者の希望に沿った結果が得られた。