
美容外科において、非外科的治療の普及には目覚ましいものがあるが、前額部の皺に対しても近年ボツリヌス毒素の注射による治療が主流となった。手軽で効果的な治療法であるが、その持続効果の問題、前頭筋麻痺による一過性の顔貌変化等、必ずしも万能の治療法ではない。演者らは前額部の若返り療法として積極的に外科的治療を行なっており、ボツリヌス毒素注射では得ることのできない良好な結果を得られたため報告する。
冠状切開アプローチを用いることはなく、前額生え際切開アプローチないしは内視鏡下骨膜下リフトの2種類の方法を使い分けている。前額生え際切開の主たる目的は皺の改善である。生え際ギリギリで約12cmのzig-zag切開を行ない、目立つ皺の部位まで皮下剥離を行なう。前頭筋は一部切除しその作用を弱め、皮膚は約2〜3cm引き上げ、2層に閉創する。一方、内視鏡下リフトの主たる目的は眉毛下垂の改善である。骨膜下剥離にて眼窩上縁で骨膜を切離し、通常切開部位で2〜2.5cm引き上げた状態でチタンスクリューにより2ヶ所固定を行なっている。
術前の診断が重要であり、適応を選択することにより概ね良好な結果が得られた。術後経過は両者に大きな差はなく、約1〜2週間で社会復帰できる程度に腫れ、内出血は回復する。
合併症として、両者ともに創部の瘢痕が気になることがある。内視鏡リフトの場合に稀に遷延する頭皮の掻痒感を訴えられることがある。
患者の希望、年齢、性別などの他に皺の部位、眉毛下垂の程度、上眼瞼の皮膚の弛み、眼瞼下垂の有無など詳細な診断に基づき術式を決定する必要がある。皺を目立たなくするという観点からはボツリヌス毒素と同等と思われがちだが、実際には下垂した組織のリフトアップにより若返り効果は全く異なるものである。症例を重ねるごとにさまざまな知見が得られたため、文献的考察を加えここに報告する。
我々東洋人は、鼻尖部における硬組織である鼻翼軟骨、鼻中隔軟骨の発達が悪く、皮膚、脂肪組織などの軟部組織が厚いため、鼻尖部の形態が丸く、tip defining pointが不明瞭のことが多い。鼻尖形態の改善目的に、鼻尖縮小術が行われているが、一般的な鼻尖縮小術のみでは正貌で細くなっても、側貌においてsupratipの膨隆を呈する。我々は鼻尖縮小術の際、3次元的に鼻尖部の形態を整える新しい鼻翼軟骨移植方法を開発したので報告する。
2006/12月より2008/6月において、鼻尖を細くしたいなどを主訴に来院し手術を行った患者51症例、男性9例、女性42例、平均年齢26.1歳。静脈麻酔下、closed approachにより鼻尖部を展開し、鼻翼軟骨を露出する。つづいて鼻翼軟骨のcephalic trimを行い、得られた軟骨を移植片とする。中間脚から内側脚方向に3-4mmのところで内側脚を切断し翻転させる。得られた鼻翼軟骨片の一枚を、両内側脚間に挟んでstrut graftとして用い、もう一枚を半切しalar batten graftとして用いる。
本術式により、正貌、側貌において細く整った鼻尖形態が、概ね良好に得られた。tip defining pointについては、鼻翼軟骨の大きな症例ほど、しっかりとした効果が得られたが、もともとの鼻翼軟骨が小さな症例では、効果も限定的であった。